創価学会の御書に『日蓮こい(恋)しくをはせば、常に出(い)ずる日、ゆうべにいづる月ををが(拝)ませ給え。いつ(何時)となく日月にかげ(影)をう(浮)かぶる身なり』とある。『日月にかげ(影)をう(浮)かぶる身なり』とはどういう意味か?

日蓮大聖人の御書は、学術的研究のテーマとして、
本格的に取り組みましたよ。
ただ、日蓮遺文を専門とする教授がいなくて、
苦労しましたねぇ。
結果的には、仏教文学という分野に振り分けられて、
あまり良い評価を得られませんでしたねぇ。

大聖人の人間的に素晴らしいところは、
消息文を読めばよくわかりますねぇ。
お手紙を与える相手の人間性を奥深く、真髄まで理解されています。
その上で相手の幸福を願って、
最大限に心に響く文章をつづられていますねぇ。

例えば、大聖人に帰依する前は、天台宗の学僧であった、
最蓮房へのお手紙を読むと、
台家の難解な仏教理論を縦横無尽に引用して、
日蓮仏法が最高峰であることを理性的に書かれていますねぇ。
おそらく最蓮房はこれを読んで、
心より納得をして、信仰に励んだことでしょうねぇ。

一方、質問文のお手紙は、身延から遠く離れた佐渡にる1人のご婦人に
与えられたものですねぇ。
そしてそのご夫婦には、
子供さんがいないことも知っておられましたねぇ。
子供さんのいない、ご夫婦がどのような気持ちで生活しているのかも、
知悉されていますねぇ。

このご婦人の主人である国府入道に与えられたお手紙には、
次のように書かれていますねぇ。

《蒙古国の日本にみだれ入る時は、これへ御わたりあるべし。
また子息なき人なれば、御としのすえにはこれへとおぼしめすべし》

「蒙古襲来で佐渡島が危険になったときは、
こちらの身延山の方へ来なさい。
また、お子さんが居ないのだから、お歳をとって不安になったら、
こちらに来なさい」

このように書かれていますねぇ。
相手の人を、心の底からいつくしみ、
なんとしても、幸せにさせてあげたいという慈悲心にあふれていますねぇ。

「日月にかげ(影)をう(浮)かぶる身なり」
これを読んだご婦人は、大切な主人を、大聖人へのご供養を持たせて、
遠く長い身延までの、危険な旅に出させたことを
思い合わせて、止めどもない涙を流したことでしょうねぇ。
ご婦人の心に、最も響く言葉だったわけですねー。


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